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2007年7月 4日 (水)

乗鞍は・・・PART 2

 まずはテント設営、これが後輩からの借り物なので自分のとは勝手が違って中々やりずらい。
しかもこのテント、夏用で生地はペラペラ、入り口はファスナーではなく、紐で縛ると言う超古典的な安テントだった。 大丈夫だろうか? 本当に凍死するかもしれない。しかし、これしかないから、どうしようもないのである。なんとかテントを張り終えたら、今度は薪拾い。薪はキャンプ場の中のロッジの脇にうず高く積まれている物があり、これを使用させてもらった。ところが、この薪、ほとんど白樺なのだが、湿っているのか火の付け方が悪いのか、全く燃えない。色々と方法を変えて火をつけてみたのだが、いくらやっても燃えるのは新聞紙だけ。山の日暮れは早く、4 時を過ぎるともう辺りは薄暗くなってきた。 焦ってくる俺、がしかし焦れば、焦るほど火はつかない。あっという間に辺りは暗闇に包まれた。 不気味だ。さっきまでの牧歌的なウィンダムヒルはどこかに行ったのか。
 人里から3㌔ほど離れたキャンプ場は恐ろしく静かで恐い。今にも化け物が出てきそうだ。テントサイトに戻った俺は暗闇の中、ハル子のヘッドライトだけを頼りにもういちど焚き火に火を付けるべくチャレンジ、、、、、 しかし、結果はペケ。気温は急激に下がってゆく。だが、興奮しているのか俺は寒さを感じない。結局は焚き火は 諦め、早々とテントの中に入った。今までかかっていたハル子のエンジンを切る。
途端に静寂の世界だ。『 こ、こわい、、、』 おもわず口をついて出た言葉だ。『 幽霊出そうな感じ、、、 』
なぜか、異様な気配を感じる。林の奥から誰かが俺を見ている・・・ 気がした。急いでテントの中に逃げ込む。寝袋にもぐり込んだ俺は寒さを感じない、かなり、興奮しているようだ。
懐中電気であかりを確保した、あまりにも寂しく、心細いので独り言を言うのだが、テントの外から別の声が聞こえる気がして来る。よけいに恐くなる。寂し過ぎて、上空を飛んで行くジェット旅客機の音もとてもうらやましく思えた。5000㍍上空でのスチュワーデスさんの乗客へのお茶のサービスに思いを馳せる。とにかく、落ち着け・・・ この孤独から抜け出したい、恐さを忘れてしまいたかった。
缶ビールをバッグから引っ張りだした。アサヒのスーパードライ、缶には乗鞍の絵が描かれている。

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暗く寒かった、テント内、なんとこのテント、夏用のぺらぺらテントだった、すきま風ぴゅーぴゅーである。


ちくわをつまみに缶ビールを飲む。だが、全然酔う事が出来ない。酔っていてもいなければ、恐くてやっていられなかった。酔えないので、バッグの中から、バーボンウィスキーを出し、飲む。ぐびぐび飲む。
ようやく気分が落ち着いてきた。鼻歌を自然と歌う、酔ってきたようだ。だが、落ち着いてきたらば今度は
寒くなって来た。焚き火がないのだから、アルコールで体を温めなければならない。とにかく飲もう!!
幽霊の気配が恐い恐い。ふと、時計を見ると、9時くらいになっているはずなのに、まだ7時過ぎだ。ありえな〜い!!!!!  起きていると恐さが募るので寝る事にする。が、今度は寒さが酷くて、眠れない。8 時にはテントが凍ってしまっている。 寒くてどうしようもない、持ってきた服を重ね着し、靴下は3足を重ねて履く。それでも足先は冷たい。俺は早く朝が来てくれる事を祈り、午後9時眠りについた。 しかし、外でかさかさこそこそ、と落ち葉が立てる音にいちいちびくつき、何度も目が覚める。 眠りが浅いので、何度も何度も夢を見た。 朝がやってきた。あー、よかったー!! 朝だー!!! って       ・・ ・・ 夢も見た。目が覚めると、午前2時、、、  ものすごーく落ち込んだ。 恐いときって、なぜだろう。過去に見た恐怖映画の怪物達や幽霊の顔なんかが頭の中にやたらめったらと出て来る。 ジェイソンに ブギーマン、ドラキュラ伯爵にゾンビ、果てはお岩さん、まで国籍問わず、オールスターキャストでやってくる。 勘弁してくれ〜。
ほんとにこの夜は、お化け屋敷に行くよりも、肝試しよりも恐ろしい夜だった。

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キャンプ場での朝焼け、この明るさを待っていた。

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氷点下の空気の中、朝日が輝きだした。 寒さで震えが止まらず、ピンぼけである。


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ハル子もすっかり凍ってしまっている。白く見えるのが霜によって凍っている所。

朝がやってきた、本物の朝に心底、ほっとした。太陽がこんなにもありがたく、来たりし朝にこんなに歓喜したのは初めてだった。谷間の朝は空が白んでいるだけで太陽はなかなか、その姿を見せないが、十分だった。暗闇がいなくなるだけで。  きっと、古代の人間も朝に感謝していたんだろうな〜。 すごくよく分かる気がする。 あんまりにもうれしくて、テントを抜け出し、ひとり、『ぐーっもーにんぐ〜っ ミスター 徳光うー 』 などとウィッキーサンのまねをしながら、騒いでいた。 アホである。
 テントの外は全ての物が凍り付いていた。地面も凍っていて、霜柱が立っていて歩くとサクサクと音を立てる。 テントの中も凍りついていた。テント自体もそうだが、水筒の中の水が凍っているし、バーボンの残りも凍りつきそう、練り歯磨きも凍ってしまっていてチューブの中から出てこない。思いっきりチューブを押すと、ミリミリ〜ってきしみながらやっと出てきた。 冷たーい歯磨きだった。

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これが霜柱、地中の水分が凍って柱状になり、地面の土を持ち上げる。

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凍結防止用に出しっぱなしの水道、寒さでつららが出来ている。この水がとってもうまいのだ。


お湯を沸かし、コーヒーを入れる。乗鞍の水で入れたコーヒー、旨すぎるほど旨いコーヒーだ。
朝食を済ませ、片付けをすませると、ハル子のエンジンをかけてみる事にした。気温が低いのでかかりの悪さを心配したが、これがハンパじゃなかった。本当にかからない、何百回とキックしたが、ウンともスンとも、、、である。 足が吊りそうになった、、、 心優しい俺は最初、『 ハル子、寒かったな、悪かったな、』
などと優しく話しかけていたのだが、全然かからない、しまいには、完璧に頭に血が上り、『コノヤローっ!
主人がこんなに謝ってんのに、アンなんだあーオマエはあーっ!!!いい加減にしろーっ!!!! 』と怒鳴り タンクをひっぱたいた。 1時間ほどかかってようやく、エンジンがかかる。 キックのし過ぎで足は完全に筋肉痛だ。まともに歩けないほど。 エンジンはチョークを戻し、アイドリングさせようとすると、回転は徐々に下がり、すぐに止まってしまった。何度試しても同じである。 『 仕方ないなあ 』 とハル子は置いといて、荷物の最終整理。 片付けようとマグカップを手にした時、えっ? なんと凍っているのだ。 気温はまだ氷点下なのだ。 こんなに気温が低いとは、時刻は7時を過ぎているのに・・・ これではハル子のキャブレターも凍りついてエンジンが止まってしまうのもうなづけた。

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神聖な空気の中の神聖な一服。


 すっかりと準備を整える。目の前には朝日に染まる乗鞍岳の姿が神聖な時間を演出してくれた。僕も朝の一服を神聖に行う事とする。神聖な山の空気につつまれてたったひとりで満喫する大自然。昨夜の恐怖を忘れ、来てよかったあ と思うひとときであった。

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雄大でかつ、たおやかな乗鞍岳を仰ぎ見る。


一服を終え、一の瀬キャンプ場を後にした。俺はここで 一つの決断を下す。 ここまで来て乗鞍の頂上まで行かないなんて言うのは、あまりにももったいない。というわけで、閉鎖中のゲートへ。  15ほどでゲートに到着。ゲート脇の隙間から入るしかない。幅はかなり狭く慎重に ゆっくりとハル子を進ませる。 抜けた!!! ゲートの端から侵入成功。 あとは山頂をチャレンジするのみである。 よーし頑張るぞーレッツラゴーッ!! 

 かくして俺は愛車 ハル子とたった一人の頂上を目指し走り始めた。 ん〜快調 道はくねりながら、急峻に登ってゆく。たちまち乗鞍高原は眼下になった。 素晴らしい景観だ!! 澄みきった空、遠くに見える山々
空気も冷たく張りつめている。 『 うわあ−!!! 絶景かな 絶景かなー これを見ないで帰れというのが、土台、無理だよなー 』 俺は景色に圧倒され、とてつもなく Highな気分になった。 今、ここから見ている景色は俺しか見れないのだ。  ザマアミロー ガッハッハッはー。 夏はかなりの観光客でにぎあうのだろうが、今は誰もいない。  なおも俺はハル子を走らせた。ワインディングを舞い走るスピードも早さを増してきた。 が、とうとう 路面に雪が現れ始めた。日陰の道は雪はなくても凍結している。荷物が邪魔をして重心移動が思うように出来ない。慎重にマシンをライドする。最悪なのは、アイスバーンの上に積もった雪だ。とてつもなく滑る。何度も滑り、転倒しそうになったが、その度に、なんとかバランスをとってばたばたと 両足で地面を蹴って マシンを進ませた。
もっと高く!! 頂上まで登りきるぞーっ  コーナーではリアタイヤは空転し、フロントタイヤは外側へとずりずり滑る。とにかく慎重に そして根性でバランスを取る。少しでも前へ 前へ 進むんだ!

午前10時、頂上まで残り 3㌔、標高 約2200 ㍍の地点。雪のため走行不能。 チャレンジは断念となった。しかし 充分だ、頂上までは行けなかったが、実に有意義な旅だった。

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写真ではわかりずらいが、勾配はかなりきつく、これ以上の走行は不可能。

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まるでアルプス越えのような乗鞍への道。


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限界である、残念 無念。
『 乗鞍よ、今度来るときはきっと お前の頂上に立ってみせるぞ!!』  

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今回、この旅で俺は自然の恐さを思い知らされた。( 幽霊の怖さの 間違い? )
しかし、それと同時に自然の美しさ、素晴らしさをあらためて感じた。 それはいつしか、どんな形であれきっと人生の中で役に立つときが来るだろう。その日の為に俺はまた旅に出るだろう。 新たな旅立ちの日は近い。  などとキザな事はこの時は決して思わなかったわけで、ただひたすら、早く帰ってお風呂に入りたい!! あったまりたい〜ッ と いう 強い思いでいっぱいだった。
すっごーく寒い乗鞍岳をあとに、すみやかに、帰路についたのだ。 
 もう決してこの時期にはキャンプはしない!!! だって 寒いし、恐いし、あ〜 もう絶対にしない。やっぱ、温泉が一番じゃないかなあ〜 そう、温泉が一番。 これが 今回の旅の結論のようです。 出来れば、混浴がいい。  ( 甘い! 根性無し )

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彼方に見える雲海、頂上から眺めたかった。


かくして、マットシの旅は終わりを告げ、彼は来たときと同じコースをたどり、その日の夕刻、無事に帰宅出来た。部屋に帰った彼はすぐさま、熱いシャワーを浴び、疲労困憊した体を癒したのは言うまでもない。
元気を取り戻した彼は、コーヒーを沸かしながらいつもの鼻歌を歌う、乗鞍へ思いを馳せて・・・
                                            
んー 快調 快調 、、、DANG DANG とDANG DANG DA DANGと・・・ って風にね。

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我が愛車  HONDA XLX250R ハル子      < MD08 >         定価 358、000円 1983年4月発売
1985年5月2日購入
空冷4サイクル 単気筒SOHC ラジアル4バルブ (RFVC 搭載)
総排気量  249cc
最高出力  26ps/8500rpm
最大トルク 2,2kg-m/7500rpm
全長  2175mm
シート高     835mm
乾燥重量   118kg
燃料タンク容量  10L
車台番号   MD22-1002972
サスペンションストローク
F - 220mm
R - 205mm

=====特徴=====インプレッション
 世界初の真半球型燃焼室を持ったエンジンは低中速トルクが太く非常に扱いやすく、またパワフルである。しかし、高回転では今ひとつ伸びが足りない。ブレーキは前後 ドラム式でタッチも良くない。かかりにくく、ケッチンが多いエンジン始動も短所であろう。サスペンションは今風のレーシーさは持っていないが、ツーリングには最適。ゆったりとしたポジションも長距離で疲れにくく、まさにツーリングのための味わいのあるオートバイと言えるだろう。
 
====ツーリングデータ====
 昭和62年 11月20日〜21日
総合走行距離  503,65km    ハル子 距離数 出発時 40054,1km 到着時 40601,3km
ガソリン消費量 16,5L
平均燃費          31,5km/L

使用金額 写真代含み    9487円
内訳  
 防寒手袋 1480円
 単三電池4本160円
 煙草 CABIN MILD240円
 碓氷バイパス通行料100円
 ガソリン代   7,2L 1044円
 食品類 1393円
 缶ココア 100円
 TEL代 80円
 ガソリン代   9,3L 1300円
 TEL代 20円
 写真現像プリント代 3570円   

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いかがだったろうか? おはずかしい文章であるが、我が 青春の 1ページである。 なお、現在は乗鞍山頂へ向かうこの道は、自動車通行禁止になっており、自転車か、徒歩でしか登る事は出来ない。
この文を書いた翌年、乗鞍岳山頂までのツーリングに成功した事を報告しておこう。 また、通行禁止、進入禁止の部分に付いては、関係各位にこの場でお詫びをしたいと思います。 

  さて、今度は自転車で登ってみたいなあ〜 乗鞍、、、まってろよーっ!!  また、行くかんなーっ 


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コメント

はいは〜い!! ご期待通り、テントは ” M ”に借りた物だよ。
とんでもないテントだったよ。まあ、元々は、群馬のバイト先の人にいただいて、それを” M ”にあげたものだと、記憶してます。 
写真、見てみたいね〜、今度持ってきてみて。 中学の頃? のかな?  懐かしそうだ。たまには昔話しをしにいらっしゃい。

梅雨だから、雨ばっかりだね。自転車、乗れません。 鬱鬱・・
ロードバイクも切羽詰まって考えてんだけど、結論が出せないよー。      困 

投稿: マットシ | 2007年7月 5日 (木) 02時58分

超~大作連載お疲れ様です。

多分、この時にお土産を頂いた様な…
後輩のテントって誰のだすか?

昨夜、写真がポロリ。
ぺらぺら見てるとマットシ君の真似ばかりしてた‘M’との
自転車ツーリングの写真が出てきました(^^)

投稿: ぐ-DOG | 2007年7月 5日 (木) 01時36分

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