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2007年7月 3日 (火)

乗鞍は 嗚呼 寒 小寒 でおお恐い。

 オートバイでの紀行文、今回は、昭和62年 (1987年) 11月20日〜21日に長野県 乗鞍岳へ行ったときのお話。 寒い寒い冬の一人旅でした。    ではよかったら読んでみて下さい。


 今回の週末は、金曜から火曜まで学園祭のため休講となり、俺は5連休を得る事が出来た。天気も最高だ。こんなチャンスを逃す手はない。どこへ行くかは考える必要はなかった。 かつてからの憧れの地、
乗鞍へと向かう。 これが今回の週末の過ごし方だ。 と前から決めていたのだ。 だが乗鞍はちと遠い。
日帰りでは乗鞍を堪能する事は出来そうもない。そこで今回は菊池正敏史上初の山中孤独単独野宿を決行する事となった。 
俺は一週間前から準備をはじめた。 手元にあるテントはグランドシートがないため、急遽郡山の実家からテントと、ついでにコッヘルも送ってもらった。    父上様面倒かけます、、、ありがとう。
出発前日、オートバイの整備を終えた俺は荷造りを始めた。 大きなスポーツバッグ1つに テント、シュラフ、毛布、そしてビニールのスタッフ袋、ディパック、全ての物を準備するとこれだけの装備になる。かなりの量だ。さあ、明日は朝一番で出発だ。その晩は荷物の最終チェックをして、9時30分に早々とベッドにもぐり込んだ。


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明くる朝は午前6時に起きた。モーニングシャワーを浴びて、朝食にふりかけご飯と味噌汁を腹に入れ、そして愛車に荷物を積み上げ、、、とわたわちゃと動き回った。 出発は午前7時30分。コースは上の地図を参考にして欲しい。
 天気は晴天、本当に雲一つない抜けるような青空が広がっている。気温も徐々に上がってきているが、11月半ばの空気は冷たい。俺のお気に入りの必殺防寒ハンドルカバーを付ければ良いのだが、写真撮影する時に”様”にならないので、寒さが我慢出来なくなるまでリアシートの上のバッグの中に入れておく事にした。しかしながら、指先は冷たく、ついに軍手を買い、皮のグローブの上から着用する事にした。ちょうど、道路脇に ワークマン なる作業着屋を発見。店先にオートバイを止めた。 軍手を買うつもりで入った作業着屋だったはずだが、出てくる時はなぜか、1480 円也の白バイ隊員用防寒手袋もどきを手に付けていた。ここで俺は予定と結果の違いに少々悩む。(意志が弱い、、、)
 朝の渋滞で混雑する17号線を車をかき分けて走り抜け高崎へと抜ける。高崎へ入り17号線から18号線へと乗り換える。大型トラックが多いこの道は今までよりもペースがぐぐっと一気に落ちる。”すり抜け”の大家である俺はこのトラック達を次々にすり抜ける。 こういう時はすり抜けが出来ないと時間がもったいない、  、、、  ような気がする。
 あ〜気分がいい。天気はいいし、こんな時、俺はいつも鼻歌を歌うのです。やっぱ、ユーミンはいいなあ〜、特に DANG DANG とかが好き。なんかすごおくハッピーな気分になってくるんだ、これが・・・・・
DANG DANGを 3回程歌った頃、ちょうど 妙義山へとさしかかりました。

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妙義山とハル子、この角度から見るハル子がすごく好きなのです。

妙義山を過ぎ、碓氷バイパスを通過すると、そこはミーハーの天国 軽井沢だ。 言うまでもなく硬派の俺は脇道にそれる事なく、そのまま通過、、、  しかし国道脇のテニスコートに視線が走るのはなぜだろう、
いかんいかん まどわされてはいかあん! かくして若者はなんとなくムラムラする軽井沢を後に、小諸、上田へと向かうのである。
ただ漠然と存在する 浅間山を右に見て、小諸を通過。 前回松本へ行った時は 小諸から254号線へ入り、鹿教湯 ”かけゆ” 温泉、三才山トンネルを抜けて行ったのだが、この三才山トンネルは、なんと有料でたかが トンネルの分際で400円という大量なる金を徴収するという理不尽な行為に出た為、今回はこれを避けるべく少々遠回りだが、上田から143号線に入り 青木峠を駆け、四賀村、松本へとコースをとった。143号線は国道なわけだが、交通量は非常に少ない。路面はそれほど良くはない、一部ダートの所もありオンロード車は不利だが、青木峠付近のワインディングは結構楽しめる。 道はタイトコーナーの連続、路面はほどよく荒れている。この道はオフロード車の方が飛ばすには便利だ。軽い車体が功を奏しひらひらと舞うように走りまわれる。コーナーとコーナーとの間が非常に短いのでオンロード車はギアをほとんど変えられないが、単気筒エンジンを積んだオフロード車はギアをすばやく変える事により、速く、そしてとても楽しく走れた。
さて、青木峠で熱くなった体を一気に冷静にさせるかのようにやがて、北アルプスがその雄大な姿を目の前に どおーんと現わす。あまりの美しさ、雄大さに感動を覚えずにはいられず、オートバイを道端に止め、しばしの間、呆然・・・・・   とにかく高さがけた違い。雲の上の、白く雪をかぶった山々を見れば誰しも感銘を受けずにはいられまい。

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山の頂上、凍っています。 寒い!!

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青木峠 頂上からの眺望

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日本の屋根と呼ばれる、素晴らしい北アルプスの峰々。それにしても空は高いなあ〜。 

よだれが垂れてきそうになるほど呆然としていた俺は、この峰々の南端にある乗鞍へ向けて、再び走り始めた。 目指す乗鞍までは、もう遠くない。
松本市へと入り、ここまで来たついでに、前回見る事の出来なかった松本城へ立ち寄って見る事にする。
道がよくわからないが、まあ適当に走ればそのうちぶつかるだろう、と細い路地をぐるぐる廻るように走る。 あった!! 黒塗りの天守閣が、、、、、 ついに松本城を見た。 日本最古の国宝天守閣、さほど大きくはなく、地味なたたずまいの城ではあるが、どっしりと落ち着いた感が漂う。 お金と時間の関係上、お城の中には入れず、濠の外から見ているだけではあったが、んー満足。 落ち着き 落ち着き と言った感じだ。

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プカプカ カモと、どっしり松本城

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ハル子と松本城、うーむ 歴史の重みを感じる。

お濠にはカモなどが群れをなしてプカプカ浮いている。 (死んでいるのではなく、泳いでいるのだ) 孤独な俺はこのカモを相手に暫し休憩。 暇だからカモとお話でもしよう。さすが動物好き!! だが、会話の内容はいたってバカ、、、『カモ君達の生き甲斐ってなーに? あー があー ね なるほど。』 我ながら変な奴である。 周りの松本市民の白い視線をそんの少々、気にしながらこの場を後に、158号線を捜す。
 上高地と書かれた標識をやっと見つけて、それに従うが、いつの間にか2度と標識は姿を見せなくなり、かわりに19号線 塩尻 と書かれた標識が続いている。予定のコースを外れたような気がした俺はセブンイレブンに入り缶ココアなんぞを買い、道を聞く。案の定全く違う方向へ進んでいた。道を聞き終えた後は、ションベンなんぞをするがためにトイレを借りた。体内の保温材を放出してしまった俺は、身震いしながら松本駅前の繁華街へもどり、やっとこさの思いで158号線を見つける事が出来た。中央高速、松本インターの建設現場を右に見て、道は正面に見えるアルプスへと続いている。
 ダダダルーン とエンジンも快調。後は一本道だ。安曇村を抜ける頃にガソリンを補給。この時、スタンドのジジ様とババ様に乗鞍の事を聞いてみる事にした。すると、『 あに言ってんズらよ、もう道は閉鎖されてるズらよ。 キャンプ!!!???  とんでもねえっ!!山は、はあ雪降ってんのに今頃キャンプなんかしたら凍え死ぬわ 』  などと ショッキングな事を聞かされた。 『 ゲゲエー そりゃあないよー 』 ため息は出るわ、鼻水は出るわ、小便したくはなるわ、頭に来るわ、 と出ないのは金と涙 (もっとも 鼻水と涙は一緒だけど)
なんてこったい、 、 、  でもここまで来て諦めるわけにはいかない俺である。
 ここは一発!! 男にならニャイカンとばかりに鼻息も荒く、いざ乗鞍へゴーゴーゴーゴー 郷ひろみ!!! というわけで、ハイオクガソリン共石シェットGP-1を7,2リッター給油し満タンとなった我が愛車、ハル子 と腹が減って死にそうな俺は一足先に冬を迎えている乗鞍へ イケイケイケイケ 池袋。シツコイ ・・・

 安曇村を抜けると、右側にエメラルドグリーンの川が流れている。梓川である。道は坂道になり、梓川に沿うようにクネクネと曲がりくねっている。坂道にあえぎ、黒煙を吐いているダンプカーを追い越し禁止を無視して、次から次へがむしゃらに抜き続ける。ここのコーナーはほとんどが視界の開けたオープンコーナーで、俺の性格上、アクセルはワイドオープンなのだ。 ハル子ちゃん がんばって!!   ワインディングを駆け、トンネルを走り抜け、そしてまたワインディングを駆ける。ハル子ちゃんは多少息切れしているようだ。 そんな頃に俺は奈川渡 ” ナガワンド ” ダムに差し掛かった。 さて、煙草でも吸おうか・・・

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写真ではよく分からないが、実際に見ると、とてつもなくでかい奈川渡ダム。

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上の道路から奈川渡ダムの下を覗き込む、高さ100メートルはある、コワイ・・・

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日が西に傾き、梓湖が反射する、美しい光景だ。

奈川渡ダムで一休みしていると、一人のライダーと出会った。横浜から来たという彼は、温泉に宿を取っていると言う、やはりこの時期のキャンプはかなりヤバいらしかった。
道はここから、トンネルの連続になる、トンネルの入り口にある看板を見る、” 凍結注意 ” と記してあった。『 まさか 本当に凍結してないだろうなー 』と不安な気持ちでトンネルの中へ入る。どんどん進んで行くと急に路面が濡れてきた。俺はおもわず、体を硬直させた。もしも凍っていたら即 転倒、そして後続、もしくは対向してくるダンプカーに轢かれて ペッちゃんこになってしまう。スピードをぐーっと落とし、きわめて慎重に進む。幸いな事に路面は凍っていなかった。ほっとした、がもう一度気を引き締めて、ハル子を駆った。奈川渡トンネル、親子滝トンネル、前川渡トンネル の3つを抜けると、乗鞍への道を示す標識が目に入る。 通称 鈴蘭越え と呼ばれる、乗鞍高原へと続く道だ。 持参した地図のガイド欄にはかなりの悪路と書いてあったが、今は全て舗装されていて快適な道だ。 道とは裏腹に 通行止めなんて 殺生だよな、と 途方に暮れた。だがとりあえず 行ける所まで昇って行く事にした。 根性あるのみなのだ。

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冬季通行禁止のゲートの少し手前の日陰は雪がうっすりと積もっておりました。

道の脇には、こじんまりとペンションなんかが建っている。なんとなく裏磐梯を小さくしたようだった。
15分ほど走ると大きなゲートが前方に立ちふさがり、行く手を妨げていた。 仕方なく再度下へ降りる。
10分ほど下った道端に 乗鞍観光案内所があったので、訪ねてみた。
『 こんにちは、あのー 道はすべて 通行止めですか? 』 と切り出すと、ぶ然としたおばさんが『 そうですっ!!! 』 ときっぱり。 『 ほんじゃあ 一の瀬キャンプ場はどうなんですか? 』と聞くと、やはり 無愛想に『 やってません!! 』 『ゲートは閉まってますから!!!! 』 とまたしても きっぱり。 冷たーい対応に 腹を立てながらも裏腹に心細くなってきた。 少し下った所に1軒だけあるスーパーへ。 とりあえず、買い物でもしよう、ソーセージ、おにぎり、ちくわ、ビール、味噌汁の素、パン、マヨネーズ などを買い込み、レジのおばさんに一の瀬キャンプ場の事を聞いてみた。 『 入れる事は入れるよ、でも今頃野宿したんじゃあ、凍死しちゃうかもよ 』  もう一人のおばさんと、『 もし、本当に泊まるんだったら、一応、住所と名前、聞いておいた方が・・・ 明日の朝、冷たくなってたらねえ 』 と言うではないか。かなり 心細くなった。日も傾いてきた。 さらに心細くなってきた。 だが、俺も男だ!! 『 いやあ〜、大丈夫ですよ、一応は身分証明、持ってますから、、、 』 訳が分からぬ、返答をしつつも、( 自分の事、全然納得させられない答えだ ) 詳しく道を聞き、一の瀬キャンプ場へ急ぐ。 山間の夕方、日が沈むのはあっという間である。 明るいうちにテントを張り、食事の準備をしなきゃならない。 先程の無愛想おばんのいる 観光案内所の所を 左折して、道なりに進む。 5分ほどで駐車場に到着。ここからは本来、車両乗り入れは禁止なのだが・・・ すみません 環境庁さん。 ここは国立の キャンプ場なのだ。  駐車場から、舗装された遊歩道を進む。ここの景色は本当に素晴らしかった。小川が流れ、白樺、カラマツの林がひろがる。 天国のような景色である。 牧歌的で、ウィンダムヒルの音楽がピッタリの場所、すっかりと葉をおとした白樺林、冬枯れした芝生の地面、流れる小川、そしてここにたった一人。 贅沢な時間だ。 こんな素晴らしい景色の中を走っていたら、心細さも薄らいで行った。10分ほどで、野営場に到着した。 設備もよく、キャンプ場としては最高の場所だ。

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きわめて牧歌的で、美しい乗鞍高原、道はこの美しい林の中を走る。

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一の瀬キャンプ場入り口にて、 本当はバイクで入ってきてはいけないのだ。すみません。


ハル子を降りた俺は思わず嬉しくなってしまい、ひとりで大声を出しながら、はしゃぎまわっていた。 別に発作が起きた訳ではない。こんな素晴らしい場所をひとりじめ出来るなんてとっても嬉しくてはしゃいでしまったのだ。 俺は一瞬、この世界の中にたった一人なのかもしれない、そんなような錯覚に陥ってしまうような感じがした。 それだけきれいな景色だった。
 しかし、いつまでもはしゃいではいられなかった。やらねばならぬ事はたくさんあるのだ。

これから、乗鞍でのたった一人の長い夜が始まる・・・・・   今回はここまで。 続きは次回で。
しかし、あらためて、書き起こすと、文章が稚拙、、、 お恥ずかしい限りなのだが、まあ、20代前半なのであって、 若かりし僕を許して欲しい。
 

それでは、また次回、 たった一人の 真冬の乗鞍でお会いしましょう。 

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