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2007年7月15日 - 2007年7月21日

2007年7月18日 (水)

彼女のオートバイ、彼女のセーター。

3連休、ずっと仕事・・・ やっと辿り着いた休み なのだが、天気は雨。  残念無念である。スカイバレーヒルクライムの練習に行く予定だったが、キャンセル。
それにしても、新潟、長野。 本当にお見舞い申し上げます。なぜ、またあそこなのか? 自然は厳しいな。

今日は家の裏の草むしりをした・・・ あ〜 仕方がないから、ブログ書こう!! っていう訳で、 昔こんなものを書いた PART2 , 今回は短編小説を載せてみよう。 大学時代に書いた、駄作だがよかったらお付き合い願いたい。

「 彼女のオートバイ、彼女のセーター 」

 それは、ある秋の日のことだった。
美子は部屋の中央に置いてあるソファーに身をまかせながら、何かの本を熱心に読んでいる。彼女の瞳がキラキラと輝いている。
僕はそんな彼女を見ているうちに、懐かしい昔を思い出した。あれは、大学3年生の夏休み少し前のことだ。当時付き合っていた女の子が僕の部屋に遊びに来ていた時、彼女はベランダの日溜まりに置いてある椅子に腰を降ろして、僕のお気に入りの雑誌をペラペラとめくりながら、冷たいレモンティーを飲んでいた。  彼女は瞳を輝かせて大きな声で僕を呼んだ。 「 ねえっ!! ちょっと来て!  」 僕は・・・ ああ、またか・・・ と吸いかけの煙草をもみ消した。

彼女とは半年の付き合いになる。同じ大学、同じゼミ、同じサークル、  よくある出逢いだ。  可愛いというタイプではなく、綺麗という感じのタイプで、背がすらりと高く、160㌢以上はあった。髪はショートカットで、性格もかなりボーイッシュだった。厄介なのは一旦思い込んだら即実行しなければならない性分・・・
これには、何度もテコヅラセてもらった。 大学で1時限目が終わった瞬間、急に「 海に行く!!」 と言い出し、3時間をかけて海に行った。 もちろん授業はサボり・・・・・   またあるときは、テレビに映った東京タワーを見るなり、「 階段で登る!! 」と言い出し・・・ 付き合わされた僕は翌日、筋肉痛で歩く事が出来ず授業を自主休講しなければならなくなった。 真夜中に買い物に行くなんていうのは、日常茶飯事だった。「 ちょっと−!! 早く来てよ!!  」  また、悪い癖が出たらしい。彼女は、弾んだ声でもう一度 僕を呼んだ。
渋々、今度は何かと重い腰をあげて彼女の所へ行ってみた。彼女は子どもみたいにはしゃいでいた。もうすっかり舞い上がっている。この舞い上がり方は、今までとは違う。僕は不安を覚えた。  「 なんだい? 」
出来るだけ、さりげなく応えると彼女は 「 これ見て! ねっ すごく気持ち良さそうだと思わない? 」 と雑誌のページを指差した。 それは僕が気に入っているオートバイの雑誌で、ツーリングの記事がメインのものだ。 彼女が見ていたページには林道をオフロードバイクに乗った女性が木漏れ日をあびながら走っている写真が載っていた。 僕はその時、バイトで貯めた金で最新鋭のオンロードバイクを買ったばかりだった。 CBR400、フルカウルのレーサーレプリカだ。二度ほど彼女をタンデムシートに乗せて走った事があったが、彼女にとっては、どうってことはなかったらしく、それほど喜びもしなかった。 逆にそれ以来、乗るのを渋ったくらいだ。バイクは好きじゃあないらしい、そう思った僕はなんとなくがっかりしてオートバイの話をする事もなかった。
そんな彼女が今、オートバイの雑誌を嬉々として振り回している。 なんか不思議と悔しい気持ちになった。 あれやこれやと聞いて来る彼女にわざと素っ気なく答えた。 
 次の日、僕は彼女の為に行きつけのバイク屋へと出かけ、彼女の乗れそうな250ccのオンロードバイクのカタログを数種類集めた。 夕べ、彼女が帰ったあと、冷静に妄想してみると、彼女とツーリングに行けるのは嬉しい事だったからだ。 自分の事のように、何のバイクがいいか色々とカタログを眺めた。「 うん、これがいいかな?  」 僕は初心者の彼女に SRX250 というオートバイを選び、その話をしたいと彼女を待った。 しかし、彼女は大学にも中々姿を現わさなかった。 何人かの女友達に聞いても、”代返”の依頼をされている以外、なんの情報もなかった。昔の事だから、携帯なんてものは、まだない時代であったから、こんな時は不便だったものだ。 彼女は実家から通っていたので、家にも行く事は出来なかった。
 夏休みに入った、結局彼女は自主休講のまま、姿を現さなかった。 さすがに心配になり、女友達と一緒に彼女の家へ様子を見に行ったが、あいにく留守で誰もいなかった。

  結局、夏休みが終わるまで彼女に会う事は出来なかった。 福島の実家に帰った僕は、アルバイトに忙しい日々を過ごした。実家に一度だけ電話があったようだったが、あいにく僕はアルバイトで留守だった。
アルバイトから帰り、電話の件を母親から聞いたが、疲れていたのと、もう一つ理由があって電話をかけ直す事はしなかった。もう一つの理由って?地元でのアルバイト先でちょっとしたロマンスがあって・・・ よくある話だ。ひと夏のアバンチュールっていう奴。訳が分からないことでいなくなっちゃう彼女を心底思っているなんて事が出来るほど大人じゃあなかった。
アルバイトで稼いだ金で集合管(オートバイのマフラー)を買って付けた。排気音が野太くなって、ノーマルにくらべて、体感パワーもあがった、なんていうことを喜んで、峠道に通った。

8月もあっという間に終わりを告げ、僕の夏休みも終わった。それとともに夏のアバンチュールも終わりを告げ、僕はちょっとうるさくなったCBRとともに東京へ戻った。
彼女は元気だろうか? 自分でいうのもなんだが、なんて調子がいい奴だろう。ヒートアイランドでの残暑の空気を感じたら、やたらと彼女に会いたくなった。 CBRは自然と彼女の家に向かっていた。 彼女の家は谷中にあるちょっと古い2階立ての日本家屋だ。 古めかしい感じが居心地が良さそうな家だ。 門をくぐると、30坪くらいの庭がある。もちろん僕は門の外から、庭先を覗いてみた。 「 あっ!!」  ・・・・・・・・
やられた、と思った。 その瞬間全てが解った。彼女の失踪?  の理由とか、夏の間の様子とか、かかってきた電話の中身とか。  軒下には新車の XLR250R が停めてあった。

一度だけ、一緒にツーリングに出かけた。初心者とは思えないほど、彼女のライディングはソフィストケートされたもので、尚かつ、負けず嫌いなので飛ばす飛ばす・・・。 身長が大きい分だけ有利なのか、シート高が高いのも何のそのだ。 彼女は雑誌に出ていたイメージがかなり気に入っていたらしく、未舗装の林道を好んだ。 勿論、集合管入りのCBRとは 趣味趣向が大きく違った。結局のところ、一緒に過ごす時間が少なくなった。せっかく同じオートバイ乗りになれたのに。3ヶ月後に恋は終わった。

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  今にして思えばひどく馬鹿馬鹿しい理由で別れたものだと思う。しかし、今でもなんとなくオートバイに彼女をとられた、そんな気持ちが心の奥底にあるような気がする。 僕はソファーに身をまかせながら、嬉しそうに本を読む美子を見てこんな”少し苦い思い出”にひたっていた。
「 ねえ、ちょっと来て。 」  美子は美しいその瞳を輝かせて僕を呼んだ。  やれやれ、またか。 と僕は重い腰をあげた。 「 今度はなんだい? 」 「 ね! ちょっとみて、このカシミヤのセーター、おしゃれだと思わない? 」 と 美子はページを指差した。 「 どう、いいでしょ〜お 」 いつも甘えた声を出すのはこんな時だけだ。 「 セーターか、、、これなら 僕に分があるな、、、。 」  僕は美子にそのセーターをプレゼントする事にした。
  夏の残り陽と秋風が戯れているような、なんとなく寂しい初秋の午後だった。

いやはや、 お恥ずかしい文ですな、こりゃ。  でもまあ、大学時代に( 暇持て余し )せっかく書いたので
載せて上げる事にしよう。読んでいただいた方には感謝申し上げる次第である。

今度の休みには 『 ぜひとも 晴れ間が欲しい!! 』 と夏を待ちわびる 梅雨の休日の僕であった。Tohoho・・・


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